アトリエより 編集者のブログ

ニュースレター sports 2023年1月6日配信号

明日 1月12日はスキーの日!

先週配信したニュースレターsports版、「スキーの日」にちなんだ記事がありますので、再掲します。
ニュースレターの次号配信は今月下旬の予定。

配信ご希望の方はどうぞ下記からお申込ください。
https://www.douwashoin.com/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%82%AC%E7%94%B3%E8%BE%BC%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0/


【ニュースレター sports 2023年1月6日配信号】

こんにちは。道和書院です。

あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

新年初のニュースレターは、来週1月12日の「スキーの日」にちなんで、レルヒ少佐のご紹介です。
ほか、『「記録の神様」山内以九士と野球の青春』著者・室靖治さんの新稿の予告、など。


■1月12日はスキーの日、レルヒの日


何を隠そう(?)この日が「スキーの日」になったのは、道和書院刊行の『レルヒ 日本にスキーを伝えた将校』のレルヒさんが、日本で初めてスキー講習を行った日だからです!

1911年(明治44年)1月12日、上越市の高田第13師団の将校を対象に、オーストリア・ハンガリー帝国の参謀将校テオドール・レルヒ(1869-1945)が初めてスキー講習を行いました。

それ以前にも日本にスキーを持ち込んだ外国人は複数いたのですが、レルヒは日本軍の正式な要請によって来日し、母国オーストリアで名匠ツダルスキーと共に開発していた最新の系統的スキー教授法を日本人に伝えました。

レルヒの生涯、日本での講習の実際、レルヒ後に上越の人々が困難を乗り越えて普及に尽力していく様子など、詳細はぜひ書籍を!


*書籍『レルヒ 日本にスキーを伝えた将校〈増補新版〉』

https://douwashoin-books.shop/items/636398814aed195974f34096

 

*上越市では「スキーの日」にちなんで様々なイベントが開催されます
https://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/sports/suki-nohi.html#:~:text=1911%E5%B9%B4%EF%BC%88%E6%98%8E%E6%B2%BB44%E5%B9%B4,%E6%97%A5%E3%80%8D%E3%81%A8%E5%88%B6%E5%AE%9A%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82


■『「記録の神様」山内以九士と野球の青春』
故郷・松江でたくさん記事にお取り上げ頂きました


昨年12/3、松江観光プロデューサー・羽田昭彦氏(週刊文春元副編集長)の企画で、トークイベント「くるま座」に出演された室靖治さん。
山陰中央新報、日本海新聞など複数の新聞で、著者インタビューや、書籍紹介、山内以九士の人物像など、記事にお取り上げ頂きました。

いずれもデジタル記事は有料ですので… ここでは昨年、道和書院ブログにご登場頂いた著者インタビューを再掲します。


*著者インタビュー:室靖治さんに聞きました

https://www.douwashoin.com/blog/%e3%80%8e%e3%80%8c%e8%a8%98%e9%8c%b2%e3%81%ae%e7%a5%9e%e6%a7%98%e3%80%8d%e5%b1%b1%e5%86%85%e4%bb%a5%e4%b9%9d%e5%a3%ab%e3%80%8f-%e8%91%97%e8%80%85%e3%83%bb%e5%ae%a4%e9%9d%96%e6%b2%bb%e3%81%95/

*書籍『「記録の神様」山内以九士と野球の青春』
https://douwashoin-books.shop/items/63338f60f3de5c4f82bc6605


室さんは、来る3月に刊行される「野球文化學会」の紀要「ベースボーロジー」に寄稿されるそうで、現在、校正刷待ちとのこと。こちらも楽しみです。
「ベースボーロジー」もまた、野球というスポーツの歴史・文化を深堀りしていく、貴重な雑誌で、毎号、興味深く読ませて頂いています。
一般書店・ネット書店でも購入可能。
野球文化學会は、道和書院と室さんとのご縁をつないで下さった団体です。感謝を込めて、下記に紹介させて頂きます。


*野球文化學会と「ベースボーロジー」

https://baseballogy.jp/

ニュースレター music 2022年11月18日配信号

あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

小社では昨2022年秋より、オンラインショップをご利用頂いた方を中心に、ニュースレターの配信を始めています。
音楽とスポーツの2ジャンルで、読者のご関心もずいぶん違うことと思い、music と sports の2種類の内容となっています。

2023年の初配信は本日正午を予定。

同時に、配信済みの前号をこのブログにアップしていくことにしました。
業務繁多につき頻繁な配信がなかなかできず、いささか旧聞に属する記事もありますが…

今年もゆったりペースでお送りしてまいります。
配信をご希望の方はどうぞ下記からお申込ください。

https://www.douwashoin.com/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%82%AC%E7%94%B3%E8%BE%BC%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0/


【ニュースレター music 2022年11月18日配信号】


こんにちは。道和書院です。

今月の新刊2点ができてきました!
現在、ご注文を頂いた書店さん、卸会社さんへ、続々と出荷しています。


■新刊(1)ドイツ・バロックの奇才・マッテゾンの最初期の著作

1713年刊のこの本、当時増え続けていた、市民の音楽愛好家、アマチュア音楽家に向けた「音楽入門」。
楽譜の基本的な記号、読み方、その意味。さまざまな楽器。イタリア・フランスの音楽とドイツ音楽の違い。
音楽について「知るべき」とマッテゾンが考えた話題が、てんこもりです。
それはとりもなおさず、当時の音楽界の「常識」と「最先端」を映し出す鏡でもあるでしょう。

詳しい内容、目次などぜひこちらを ↓
https://douwashoin-books.shop/items/63646abec808a43a59b40b5c


カバーは、マッテゾンが活躍したハンブルクを描いた銅版画。
隆盛を誇ったこの街が、新時代の聴衆を育て、マッテゾンなど多くの音楽家・芸術家を生み育てていったのでは…。
そう思って、訳者の村上曜さんに「装画になるような、何か良い素材はないでしょうか」とお願いして、探して頂いたものです。

全体にシックな装幀になっていますが、銅版画をよくよく見ればびっしりと建物が建ち並ぶ大都会。そのパワーが、この本を生み出した源泉と感じます。

装幀:高木達樹


■新刊(2)フランス・バロックの最重要の舞踊理論家・ノヴェールの主著

マッテゾンよりも半世紀ほど後のパリに生まれたノヴェール。
こちらは、生涯にわたって旅から旅へ。モーツァルトと同じように、当時のヨーロッパの重要な文化都市を渡り歩き、その地のバレエ界の向上に力を尽くし、多数の後進を育てた人物です。

こちらの装画は、ノヴェールの弟子ドーベルヴァルが踊る舞台を活写した銅版画です。

詳しい内容はこちら ↓
https://douwashoin-books.shop/items/63646b3f211ac34ff11d2f35


音楽と舞踊はもともと一体の芸術。
今はまるで別の世界のように、愛好家も、研究も、分かれてしまっている様子なのが残念です。

道和書院は、もう一つの柱としてスポーツ関連書も刊行しています。
身体を極限まで研ぎ澄まして最高のパフォーマンスを行う。
スポーツも、身体を使う芸術も、その点では同じです。
今後も、舞踊に関する書籍の刊行をと願っています。

こちらも装幀は、高木達樹さん。


■バルトルド・クイケン来日公演 2022(終了)

(後日記)

主催者の方々のご好意により、道和書院刊行のクイケンさん著書を、4公演すべての会場で販売することができました。
ありがとうございました。



新刊2点 お取扱い書店一覧

音楽と舞踊に関する新刊が2点、同時に刊行されます。

 

 

厳しい状況にもかかわらず、そして2冊とも超・専門書であるにもかかわらず、予想外に多くの書店さんからご注文を頂きました。
感謝の気持ちも込めて、以下にその一覧を掲載させて頂きます。

本が店頭に出てくるのは、発売日の11/24以降です。
どうぞお近くの書店にお運びいただき、お手にとってご覧下さい。

*この一覧は、道和書院に直接、事前注文を下さった書店のリストです。
*この他にも、卸の大阪村上楽器さん・松沢書店さんを通じて注文を下さっている書店さん・楽器店さんが多数ございます。

最新の在庫の情報は、お店に直接お問い合わせ下さい。
在庫がない場合、お店に注文して頂ければ、取り寄せ可能です。


【取り扱い店リスト】(2022/11/24現在)


■北海道
紀伊國屋書店札幌本店
MARUZEN & ジュンク堂書店札幌店

■岩手県
ジュンク堂書店盛岡店
蔦屋書店盛岡店

■秋田県
ジュンク堂書店秋田店

■埼玉県
紀伊國屋書店埼玉店

■千葉県
喜久屋書店松戸店
丸善津田沼店

■東京都
オリオン書房ノルテ店
紀伊國屋書店新宿本店
くまざわ書店東京オペラシティ店
くまざわ書店武蔵小金井北口店
三省堂書店池袋本店
ジュンク堂書店池袋店
ジュンク堂書店吉祥寺店
ジュンク堂書店立川店
東京堂書店
BOOKS 隆文堂
ブックファースト中野店
増田書店
丸善多摩センター店
丸善丸ノ内本店
MARUZEN & ジュンク堂書店渋谷店

■神奈川県
ジュンク堂書店藤沢店

■新潟県
ジュンク堂書店新潟店

■富山県
文苑堂書店福田本店

■愛知県
ジュンク堂書店名古屋店
ちくさ正文館

■滋賀県
大垣書店大津一里山店
ジュンク堂書店滋賀草津店

■京都府
大垣書店イオンモールKYOTO店

■大阪府
喜久屋書店阿倍野店
紀伊國屋書店梅田本店
ジュンク堂書店大阪本店
ジュンク堂書店難波店

■兵庫県
喜久屋書店神戸南店
ジュンク堂書店芦屋店
ジュンク堂書店三宮店
ジュンク堂書店西宮店
ジュンク堂書店姫路店

■岡山県
喜久屋書店倉敷店
丸善シンフォニービル店

■広島県
ジュンク堂書店広島駅前店
丸善広島店

■香川県
ジュンク堂書店高松店

■福岡県
丸善博多店

■沖縄県
ジュンク堂書店那覇店

バルトルド・クイケン氏 2022来日公演

コンサート活動がようやく盛んになってきました。
嬉しい秋です。

小社刊『楽譜から音楽へ』の著者バルトルド・クイケンさんが来日、11月~12月に姫路・東京・大阪・橫浜で演奏されるので、お知らせします。
すべての公演で、主催者のご厚意によりまして、書籍の販売もして頂けることになりました。
公演にいらっしゃる方々へ、ぜひ、CDおよび書籍の販売所にもお立ち寄り下さい。

【書籍の詳細情報はこちら】
https://douwashoin-books.shop/items/63647150bd5e4d0af319ea2f


バルトルド・クイケン バロック・フルートコンサート
来日公演詳細(4ヶ所4公演)

■姫路「バルトルド・クイケンと仲間たち」
11月27日(日)14時開演
パルナソスホール
[曲目]
J.M.ルクレール:フルートソナタ ハ長調 Op.2-3
G.P.テレマン:ファンタジー第6番ニ短調、第3番ロ短調 他
[チケット取扱]パルナソスホール(TEL 079-297-1141)他
https://parnassushall.himeji-culture.jp/hall_event/3216

■東京「バルトルド・クイケンと仲間たち」
12月2日(金)19時開演
トッパンホール
[曲目]
G.P.テレマン:フルート・ソナタ ロ短調
J.S.バッハ:トリオ・ソナタ ハ短調(「音楽の捧げ物」) 他
[予約・問合せ]オフィスアルシュ(TEL 03-3565-6771)他
https://www.officearches.com/concert/2022-12-2/

■大阪「バロック・フルート リサイタル」
12月9日(金)19時開演
ワキタ・コルディアホール(旧イシハラホール)
[曲目]
J. S. バッハ:
無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調
オブリガート・チェンバロとフルートのためのソナタ ロ短調 他
[問合せ]株式会社ラプトサウンド(TEL 0797-84-5952)

■横浜「J.S.バッハ:フルートソナタ全曲」
12月11日(日)14時開演
横浜みなとみらいホール 小ホール
[曲目]
J. S. バッハ:
無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調
オブリガート・チェンバロとフルートのためのソナタ ロ短調 他
[予約・問合せ]オフィスアルシュ(TEL 03-3565-6771)他


【東京公演チラシ】


【橫浜公演チラシ】

『「記録の神様」山内以九士…』 著者・室靖治さんに聞きました

山内以九士(やまのうち・いくじ)の評伝が好評です。著者の室さんに、改めて、今の心境をおうかがいしました。

Q)発売(6/30)から2ヵ月経ちましたが、各紙で紹介記事が出て、大変な反響ですね。本が出る前と後で、心境の変化はいかがですか?


発売の2週間ほど前、見本を手にした時の感激は忘れられません。原稿としては何度も書き直し、読み直してきましたが、本になってページをめくると、まるで違う新鮮な印象でした。「レコナー」が主役の素敵な装幀。ナイツのお二人による絶妙なやり取りが載った「帯」。とてもいとおしく感じました。

達成感で脱力していたのですが、片桐社長から「むしろこれからですよ」と言われ、「ええ~?」(笑)。この本を一人でも多くの野球ファンに知っていただこうと、さっそく気持ちを切り替えました。SNSでは新たにインスタとツイッターを始めました。本に書いていない小ネタも満載ですので、ぜひご覧ください。


Q)山内以九士氏について、出版後に新たにわかったこと、さらに深堀りしたいことなど、出てきましたか?


本をきっかけに、生前の山内を知る方と知り合いたいと願ってきました。先日、ある方とのご縁ができて感激しています。スポーツ新聞社に勤めていたごきょうだいと一緒に、山内を自宅に訪ねたことがあるそうです。近々お会いし、私の知らないエピソードをお聞きできることを楽しみにしています。

山内が心血を注いだスコアカードの現物も見てみたい。これらは日本野球機構に保管されていますが、コロナ禍の制約でまだ閲覧できていないのです。


Q)さて、これからは? ぜひ新たなテーマを見つけて取材執筆をと思いますが、いかがでしょうか?

新たなテーマとは違いますが、原稿を書きながら漠然と考えてきたことがあります。山内が雑誌などに寄せた文章を、時代やテーマ別に読みやすく整理し、1冊にまとめることです。山内は「レコナー」(打率早見表)を作り、パ・リーグ年報を長年編集しましたが、愛弟子の宇佐美徹也さんや千葉功さんのように野球の記録に関する読み物を出版した経験はありません。「お、そのアイデアいいね」と声をかけてくださる出版社が現われることを、ひそかに期待しています。

 

【紹介記事一覧(書店の方に向けた広報ページです)】
https://www.douwashoin.com/for_bookstores/

【お勧め:読売新聞オンラインの記事】

1)「プロ野球界で「記録の神様」と呼ばれた祖父・山内以九士、その生涯を調べたら」(執筆:室靖治。書籍未掲載の写真あり)
https://www.yomiuri.co.jp/sports/npb/20220721-OYT1T50210/

2)写真集:プロ野球「記録の神様」山内以九士と球界スター名場面
https://www.yomiuri.co.jp/s/ims/yamanouchiproject/

【書籍の内容紹介】
https://www.douwashoin.com/%e3%80%8c%e8%a8%98%e9%8c%b2%e3%81%ae%e7%a5%9e%e6%a7%98%e3%80%8d%e5%b1%b1%e5%86%85%e4%bb%a5%e4%b9%9d%e5%a3%ab%e3%81%a8%e9%87%8e%e7%90%83%e3%81%ae%e9%9d%92%e6%98%a5/

 

第4期の終わり

2018年12月に道和書院の事業を承け継いでから、この8月で4期目の締を迎えようとしています。
道和書院は1969年の創業ですから、すでに50年余の歴史がありますが、事業承継で株式会社にしてから第4期、というわけです。

順調に伸びていた事業でしたが、第2期半ばの2020年3月にコロナ禍に遭遇。なぜかその直後、ちょっとした体の不具合も発覚したため、この2年ほどは新刊の刊行を抑え、最低限の仕事のみを優先させる日々でした。

コロナの出口が見え始めた昨年秋、遅れてしまっていた企画をそろそろ形にせねばと、ようやく動き始めました。
主にスポーツ書の編集に忙しくしていましたが、しばらくぶりに音楽に戻り、これから何冊か、音楽の新刊が続きます。
スポーツと音楽、そして一般向けにできる限り「開かれた」本と、専門家向けの研究書。異なる世界を行ったり来たりですが、楽しんでやっています。

今年の出版界は、4月頃からでしょうか、コロナの打撃がますます露わになってきた観があり、そしてまさかのヨーロッパでの戦争。原材料の高騰で、制作面でもひときわ厳しい状況になっています。

正直にいえば、せめてコロナ前にあと2、3年は欲しかった。そして体の不調など気にせず思い切り仕事できる期間も。そうすればもう少し、会社としての体力がついていたはずだ、という思いはあります。

ただし生来、順境よりも逆境に強い性格。我ながら、その点は実にありがたい。さて、9月からの第5期。どんな1年になるでしょうか。

(片桐文子)

悪夢の誤植

誤植とはなぜか、新しい本ができあがって嬉しくて、にこにこしながらページを繰っている時に限って、ぴかりと光るように存在を主張する。

誤植の神様、などというものは居ないとは思いますが… 
そういう時は、何者かの満足げなくすくす笑いが、確かに聞こえる気がします。

今回の新刊(ハイニヘン)、内容には関わりがないのですが、たいへん派手な、最高にみっともない、誤植が一つ、ございます。
実は年末に見本ができた時すでに、わかっておりました。
さる取次のデータ登録担当者から連絡を受けて判明。
出先から戻る途中にスタッフからスマホにメッセージが来て、「血の気が引く」とはこのことか、と。
戻って確かめるまでの30分間は、忘れられない。

いかにもありがちな、製作の最終行程での誤植発生。
最も神経をつかう作業が終わり、半ば「自分の手を離れた」段階のことで、注意が散漫になっていたものと思われます。
しかし校正は確かにしている私。言い訳のしようもなく… 落ち込みは半端ないものでした。

編集者生活30年(!)、ありがちな、笑い話になるようなミス、しかしこれまでは辛くも免れていたミス。
痛恨です。

ご購読の方には大変申し訳ない次第ですが、この誤植ゆえの返本、交換は致しかねますので、ひらにご容赦願いたく…

(片桐文子)

 

【山梨県某所にて。南天の花が綺麗でした】 

ハイニヘン「新しい通奏低音奏法」、今日から販売開始です

あけましておめでとうございます。
長びくコロナ禍、またまた新顔(オミクロン)が悪さを始めて心配ではありますが…
一つずつできることを積み重ねて、明るい方へ、明るい方へと進みたいと思います。

ハイニヘン著「新しい通奏低音奏法」(1711年刊)の「全訳と解説」、本日より、小社のオンラインショップで販売を開始します。
通奏低音を独学でも習得できる、徹底して実践的な教本であると同時に、18世紀初頭の音楽家たちが何を考え、どのように創作・演奏に取り組んでいたかをうかがうことのできる、貴重な史料です。

通奏低音の装飾音はどのように付けるのか、数字が付されていない低音から和音進行をどう組み立てるのか。
教会での音楽のみならず、劇場での演奏、とくにレチタティーヴォの伴奏をどのように行うのかといった、現場の音楽家たちが知りたいと思う具体的な課題に、多くのページが割かれています。


私が非常に興味深く読んだのは、巻頭の「序文」におかれた「インヴェンツィオの創出」でした。
インヴェンツィオとは久保田慶一先生の注釈で「弁論」の「修辞的な図式」における、語りだしの「着想」にあたるもの。まずはそれをどう創出するかが、巻頭から楽譜例をあげて詳細に語られています。

かのヨハン・セバスティアン・バッハが「2声のインヴェンション」を作曲したのは1720年代の初め。
当時の音楽家たちの最先端の話題であった「インヴェンツィオの創出」をめぐる、バッハなりの一つの「解」ではなかったか。
さまざまな想像をかきたてられます。
歴史的な史料に接する面白さはこういうところにあります。

今回の「全訳と解説」は、本当はもっと大判の(B5かA4か)サイズにして、譜面台に置いて実際に弾きながら読み進めるようにしたかったのですが、製作のコストや出版後の管理の面を考慮し、やむなくA5としました。
「使いにくい」本で申し訳ないのですが…


せめてもの工夫で、開きのよいPUR製本を採用しています。表紙(カバーを取り除いた後の青い紙)が少々硬めの用紙なので、最初にすこし力を入れて、本を柔らかくほぐすように真ん中から開いてください。そうするとページが開いたまま戻らなくなって、読みやすくなります。

(片桐文子)

ハイニヘンの本邦初訳、発売日が決まりました

ハイニヘンの『通奏低音奏法』、編集作業もようやく峠を越しました。
今年の秋の刊行を予定していましたが、諸般の事情で、来年の年頭の発売と致しました。
刊行を心待ちにして下さっている方々には、誠に申し訳ない次第ですが、どうぞご容赦ください。

諸般の事情の一つに、ハイニヘンの原著そのものが、多数の譜例も含めて誤植がたいへん多く、修正のために予想以上に手間取ったことがあります。

そしてもう一つは、解説・付録・人名索引等、本編以外の比重の大きい翻訳書のため、「全訳」の部分を推敲し磨きあげる過程で、それと連動して、解説や付録の内容・表記も見直していく必要がありました。最終的に、総頁324ページのうち「全訳」は220ページ、その他はすべて久保田慶一先生の編・著で、まさに労作の名にふさわしい本です。

誤植について、ハイニヘンの名誉のためにひとこと。
彼は弱冠28歳でこの本を出版していますが、ハンブルクのベンジャミン・シラーという出版者からの依頼を受けての執筆だったようで、それはハイニヘンがザクセン選帝侯の宮廷楽長(ドレスデン)になる前後のこと。就任後ほどなくイタリアに赴き、そこで数年を過ごすことになったため、おそらく、書き上げた原稿をシラーに託してイタリアに旅立ち、著者校正はできないまま出版されたものと想像されます。彼の生涯でもいちばんの環境激変、多忙な時期だったと思われ、無理からぬことと感じます。

ちなみに出版者シラーは、ハイニヘンのこの本の2年後にマッテゾンの『新設のオルケストラ』を出版しています。シラーをはじめ、数多の出版者が音楽史で果たした役割に思いを馳せ、共感と興味をかきたてられます。(誤植が多いのは遺憾ではありますが、ただこの本の場合、著者校正のないまま出版しなければならなかった編集者にも、同情の余地が多分にあります。そのくらいハードルの高い、音楽家ならではの、演奏現場に即した内容だからです。)

諸般の事情の三つめは(言い訳がましいですが、まだ続きがあります)、この翻訳書には、実は2冊分の内容が込められることになったから、です。

ハイニヘンはおそらく、短期間で書き上げて(?)誤植が多く残ってしまった自分の初めての著作に対し、忸怩たる思いを抱き続けたにちがいありません。後年、この本の増補改訂版とも言える『作曲における通奏低音』を、今度は自費出版しています。それは彼が46歳で早世する前年のことで、もしかしたら体調も悪いなか、なんとしても出版したいと命を削るようにして執筆・校正をしたのかもしれません。

実はハイニヘンの「主著」として後世に名高いのはこちらの方なのですが、しかし、1,000ページに迫る大著を邦訳出版するのは現実問題として難しい。そこで、前著の『新しい通奏低音奏法』のほうをプロトタイプと捉え、まずはハイニヘンという人物と音楽論を知ってもらうことを主眼に翻訳出版をしようということになりました。

ただし、後年の著作でどのような増補改訂が為されたのかは誰しもが興味を持つところ。そこで、久保田先生が「解説」の多くを費やして1711年版と1728年版を比較検討し、増補改訂のポイントを整理して、ハイニヘンの音楽観の変化を明瞭に示して下さることになりました。2冊分の内容が込められることになった、というのはそういうわけです。

「付録」には、ハイニヘンが2冊の著作で実例として取りあげた、2曲のカンタータ(チェザリーニとアレッサンドロ・スカルラッティ)を全曲、掲載しています。ハイニヘンの指示に基づいて、チェンバロ奏者の平野智美さんが、さらに創意を加えてリアリゼーションして下さった楽譜です。特にスカルラッティのほうは名曲!だそうです。ぜひ、実際に弾いてみてください。

創業以来の足跡を振り返る

10月7日発行の出版業界紙『新文化』の「この人この仕事」に、筆者(片桐文子)が取り上げられました。先ほど掲載紙が届いたばかり。担当記者が心のこもった丁寧な対応をしてくださって、記事はもちろん嬉しいことですが、やりとりそのものが楽しく、励まされました。

この9月はそのために、道和書院を引き継いでから今日までを改めて振り返り、さらに遡って創業以来の刊行物と創業者(鬼海高允・美乃里夫妻)の足跡をたどる作業をしていました。

国立国会図書館、そしてJPRO(出版情報登録センター)で公開されているデータから、創業以来の道和書院の刊行物をまとめると、このようになります。

道和書院 刊行物一覧 196904-202109

創業者夫妻がすでに物故しており、わからないことが多々あります。刊行物もおそらく他にもあるのではないかと思われます。ただ、はっきりとわかったことは、スポーツ・体育の専門出版社として、スタートから非常に精力的に、最先端の研究成果を世に問う出版活動をしていたことです。

創業者の鬼海高允は私の従兄にあたりますが、50代半ばで急逝しました。著者たちと飲みに出かけることもしばしばだったと聞いています。出版の内容・ペースを見て改めて思ったのは、高允さん、生き急いだかなぁ、ということでした(亡くなったのは私が大学生のころです)。父がもっとも頼りにしていた甥、ということくらいしか知らなかった。しかし、同業の編集者として、真に尊敬に値する人だった、と改めて思いました。

そしてもう一つ、知らなかった!と申し訳なく思ったのは、高允急逝後の妻・美乃里の、目を瞠る仕事ぶりです。高允が亡くなった年こそ刊行点数が1点のみと落ち込みましたが、その後はペースを取り戻し、二十数年にわたって営々と専門書籍の刊行を続けていました。口数が少なく、いつも穏やかな微笑みを浮かべて、会えばいつも「体に気をつけて、頑張ってね!」と励ましてくれた優しい人。そういう印象だったのですが、編集者として出版人として、自分など及ばない強さをもった人だった、と知りました。

道和書院は1999年に日本体育学会より「永年にわたる体育学及び日本体育学会の発展への多大な貢献」に対して、感謝状を頂いています。創業者・高允の没後、5年たってのことです。これはおそらく、創業以来の出版活動、そして後を継いだ美乃里の努力を称え励ますものだったのではないか、と推察しています。

そこにはもちろん、著者の方々のお力添え、取引先のご厚意(とくに創業以来今日までお世話になっている大盛印刷さん)、業務委託で編集などの実務を担って下さった方々の支え、そして高允・美乃里の子供たちの努力がありました。それがなければ、今日まで道和の歴史が続くことはなかったでしょう。

この9月で、新生・道和書院は第4期目に入りました。
創業者、そしてこれまで道和書院に関わってくださったすべての方々の思いを継いで、これからも1冊1冊、価値ありと信じる本を、世に出していければと思っています。

 

(小金井市 武蔵野公園)

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