9月の新刊


9月25日発売の『キャンプセラピーの実践:発達障碍児の自己形成支援』の書誌情報を公開しました。

著者は、野外教育の専門家であり臨床心理士・公認心理師でもある、坂本昭裕氏(筑波大学教授)。

下記は、小社オンラインショップの販売ページです。
https://douwashoin-books.shop/items/64eda771fe1d6b002c3f3a78

 

発達になんらかの障碍があり、いわゆる「生きづらさ」を抱える子どもたち(とその親御さんたち)を支援する。
その一つの手段として、音楽もスポーツも、はかりしれない貢献ができると思っています。

いずれ関連書を出したいと願っていましたが、ご縁があってまずスポーツ分野で、坂本先生の長年の蓄積に基づいた知見を、書籍の形にすることができました。


キャンプ・ブームと言われる昨今。
「癒し効果」をうたった野外体験ツアーなども出てきているようですが……

効果をエビデンスとして示すのは難しい。
アメリカでも日本でも、支援に携わる人たちがその難しさを引き受けつつ、長い時間をかけて研究と実践を蓄積してきたそうで、本書ではその試行錯誤の歴史に触れることができます(第1部)。

第2部では、実際のキャンプセラピーの概要と冒険プログラムの内容、そして効果を数値として示す研究がまとめられています。

第3部は、ASD児、ADHD児の事例を経過にそって詳細に記録した質的研究。まるで自分もキャンプに参加しているかのような臨場感、説得力。

このキャンプセラピーでの体験は、決して一過性ではなく、その後の人生に少なからぬ影響を及ぼすのでは…… と共感しました。

自分の子ども時代を振り返ってみても、何かというと思い出される「あの時のあの人の、言葉・声・表情」がいくつかあり、それが陰に陽に人生の道筋を決めてきたように思います。

真剣にならざるを得ない、自然の中での冒険プログラムだからこそ、参加者同士で、カウンセラーとの間で、交わされる言葉や心の交流は、深く心身に刻印されるはずだと思いました。


本当に助けを必要としている子どもたちとその親御さんに、専門家の知見と技術に裏づけられたキャンプ・プログラムがあることを伝えたい。
これは書籍という媒体だからできることかもしれない、と感じつつ、編集作業を進めておりました。
(片桐)