アトリエより 編集者のブログ

お問い合わせについて

このところ新聞広告を続けて出稿した反響でしょうか、
出版目録についてお問い合わせをいくつか頂きました。

小社の出版物に興味を持って頂けること、大変嬉しく思っております。

ただ、誠に申し訳ないことに、
小社では現在、紙の出版目録の制作はおこなっておらず、
このサイト上に最新目録のPDF版を掲載しております。
お手数をおかけして恐縮ですが、
そちらをご高覧いただければ幸いです。

https://www.douwashoin.com/shop/wp-content/themes/douwashoin-shop/img/pdf/mokuroku2021_03.pdf

 

もうひとつ、お問い合わせを頂く際にご留意いただきたいのですが、
当方からの返信が迷惑メールとして処理されないように、
メール設定のご確認をどうぞよろしくお願い致します。

 

サイト上の出版目録は、新刊刊行の際に更新致します。
在庫僅少の図書もありますので、売り切れの際はどうぞご容赦ください。

 

twitter で起きた事件

twitter で、ある研究者が別の研究者を、非公開アカウントではあるけれど、
数年にわたって中傷していたという事件。
 
このサイトは、説明の言葉がよく吟味されていて明快。
とくに「コミュニケーション様式」という言葉は、
本質を喝破しているように思います。
賛同しました。
 
【女性差別的な文化を脱するために--研究・教育・言論・メディアにかかわるすべての人へ】
 
この件、なによりも失望したのは、渦中の人が41歳と若く、
優秀とされる研究者(しかも歴史研究)だったことです。
実名のアカウントで数年にわたって続けていたというのは、
相当に感覚が麻痺している、と思う。
 
女性蔑視の観点で論じられることの多い話題ですが、
わたしの根本的な疑問は、
研究者で、若い学生を育てる立場にある教育者が、
頻繁にtwitterに投稿する必要性は何だろう?ということです。
 
端的な言葉で他者を説得する、そのための文体を磨いている、
あるいは、アバターのゲーム感覚で楽しんでいる、
つもりが……
いつのまにか自分の人格をみずから歪めている。
アバターに自分を乗っ取られている。
そんなふうに感じることも多々あります。
 
文体とは、
音楽でいえば自分の音色と同じくらい、
天与のものであり、かつ、
一生かけて磨いていく(飾りや嘘のない自分になっていく)もの、
と思うのですが……
 
なぜそれをみずから放擲して、SNSの鋳型に自分を填め込んでいくのだろう?
誰がそれをあなたに求めている?
 
そして、どんなに工夫を凝らしてウケる文体を駆使していても、
どの投稿も同じ人格に見えてくる不思議、というか、気味の悪さ。
 
もったいないではないですか。
唯一かけがえのない「自分」なのに。
 
出版の企画がもちあがったとき、私がこの頃まずすることは、
その人のtwitter投稿を見ることです。
 
日常の「素」(?)のステージで、どんな振る舞いをしている人なのか。
 
そこに少しでも、不必要な好戦性、他者攻撃のにおい、
類型的なドグマのようなものを感じたら、
お付き合いは慎重にすることにしています。

上越市・日本スキー発祥記念館 訪問記

3月中旬、新潟県上越市の日本スキー発祥記念館を訪ね、
企画展「レルヒ少佐と高田の友人たち」を見てきました。

今年は、レルヒによって日本にスキーが伝えられて110年のメモリアル・イヤー。
それを記念した企画展が開かれているので、これは見逃せません。

そして、せっかくなので石打丸山スキー場ですこし滑ってきました。
あいにくの雨のあと、重い雪でしたが、
ゆったりとしたコース、雪で覆われた山々や市街地の美しい眺望は格別で、
また行きたいと思いました。

この記念館について、上越市のホームページの説明を以下に転載させて頂きます。


*****

明治44年(1911年)1月12日、当時のオーストリア・ハンガリー帝国の軍人テオドール・エドラー・フォン・レルヒ少佐が、ここ上越市において日本で初めてスキーの指導を行いました。これが日本のスキーの始まりです。

レルヒ少佐はわが国の軍事視察を目的として来日し、1年余りを高田で過ごしました。この間、陸軍第13師団の長岡外史師団長ら良き理解者に恵まれ、スキーの指導にも熱心に力を注ぎました。

今日のスポーツ・レジャーとしてのスキーの隆盛を見るとき、レルヒ少佐を始め当時情熱的にスキーの普及に努めた人々の先見性は、大いに称えられるべきでしょう。

この記念館はスキー発祥80周年を記念して建設され、平成4年(1992年)4月にオープンしました。さらに、長野オリンピック冬季競技大会の開催に向け、日本のスキー発祥の地「上越市」を全国にアピールするため、増築工事を行い、併せて展示内容の充実を図り、平成9年(1997年)2月に新装オープンしました。

当記念館は、スキーが伝わった当時の貴重な資料やレルヒ少佐の遺品などを展示し、上越はもとより、県外からも多くの皆さんが訪れています。また、全国からスキー用具や関係資料を寄贈いただき、レルヒ愛用の品もご遺族のご厚意により多数寄贈いただくなど、収蔵品の充実も図られました。

https://www.city.joetsu.niigata.jp/site/museum/sisetu-ski.html

*****

【企画展のチラシ】

 

【記念館 外観】

 

【館内の様子】
指導中のレルヒを撮影した有名な写真(撮影:小熊和助)をもとに作成された立像。

 

【レルヒの仕事机】
レルヒは母国に戻ってから、オーストリア=ハンガリー帝国の将校として最前線で闘い続け、
退役後は軍事に関する論文・記事で健筆をふるうようになったそうです。
これは没後に遺族から記念館に寄贈されたレルヒの仕事机。
帝国の没落で、生活に困窮する時期すらあったそうですが……
この机を間近で見て、オーストリア=ハンガリー帝国の歴史と繁栄の重みを感じさせられました。

 

【長岡外史とレルヒ】
来日したレルヒを迎える陸軍第13師団長(日露戦争で大きな役割を果たした)長岡外史。
軍隊でのスキー講習だけでなく、女性を含む市民にもスキーを奨励した、
広い視野を持った軍人であったことを初めて知りました。
スキーはその後、郵便配達、山林の管理、電気の保守など、さまざまな仕事で活用されるようになったとのこと。
その写真を見て、この上越が、スキーが日本に根づく、最初の地とされることを、深く納得しました。
第13師団を長岡の後に引き継いだのが、陸軍大学の同期であった秋山好古だそうです。

 

【記念館に隣接する金谷スキー場で、上越の地を見わたすレルヒ】

 

記念館では長期にわたって、小社刊行の『レルヒ  知られざる生涯』(新井博・著)を販売して頂いています。
新刊の『スキー研究  100年の軌跡と展望』も、チラシとともに置いていただくことになりました。

企画展は3月28日(日)までですが、記念館は年末年始と月曜などを除いて開館しています。
毎年1月の「スキーの日」、2月の「レルヒ祭」では、さまざまなイベントがあり、入館料が無料になるそうです。

3月11日

東日本大震災から10年。

このような悲しみがあっていいものかと、報道を見るたび思う。

 

あのときはまだ、千代田区外神田にあった会社に勤めていた。

帰宅の指示が出たので、神田から自宅のある小金井へ、歩いて帰った。

午後4時ごろに出て、帰宅したのは深夜1時半過ぎだったと思う。

 

そしてテレビをつけ、初めて見た津波の映像。
真っ暗な街にちろちろと燃え広がる炎と、くすぶる煙。

あの下にたくさんの人がいる。
本当に? 考えたくなかった。

 

あれからたくさんの報道があった。

被災された方々の重い口から発せられる言葉の一つ一つに、
胸を衝かれる。

どうしようもない悲しみや孤独から絞り出される言葉が、
「生きろ」と人を奮い立たせてくれる。

華やかな勝利や、成功や、喝采の中で発せられる言葉よりもずっと。

 

震災とその後の10年は、
そのことを教えてくれる歳月だったようにも思う。

3月に思うこと、そして新しい出版目録

3月は、道和書院の創業者が亡くなった月(祥月)。
今年、私(片桐文子)はそのときの創業者と同じ年齢になります。

 

日販王子流通センター注文口で倒れて、そのまま。
採用品の製作・搬入で多忙を極める時期。
子供たちはまだ大学生でしたし、心残りも多かったと思います。

 

私のいとこにあたる人ですが、父の弟といってもいい年齢で、父が最も頼りにしていた親戚でした。
旧事務所には、父の油絵が何点も飾ってあります。
個展の時にはいつも、初日の朝いちばんに来てくれました。

 

道和書院は1999年、日本体育学会から「永年にわたる体育及び日本体育学会の発展への多大な貢献」に対して感謝状を贈られています。(「日本体育学会の創立50周年を記念して」とのこと)

 

小さな出版社が、学会から感謝状を贈られるということ、私はそういう例を他に聞いたことがありません。
当時の事情を知る方がいたらお話を聞きたいと思いつつ、ゆかりの方にまだ出会えていません。
創業者の急逝からしばらく経っての表彰ですが、あとを継いで苦労を重ねた妻も含めて、道和書院の仕事に敬意をもってくださる方々が学会に一定数いた、ということは確かと思います。

 

私は前職の会社で働いていた2003~2004年頃から、いつか独立したいと思うようになりましたが、まさか道和書院を継ぐことになるとは夢にも思っていませんでした。
亡き父の守りと導きを感じずにいられません。

 

3月1日発売の『スキー研究 100年の軌跡と展望』は、スポーツの学問の王道というような内容、先鋭的な企画で、私はようやく創業者に顔をあげて近況報告できる気がして、先日、お墓参りに行ってきました。
喜んでくれていることを願っています。

 

下にあげた画像は、道和書院の新しい出版目録です。
これまでは手作りの簡易版でしたが、フルカラーにしました。
今後は、新刊ができるタイミングで更新し、サイトの「出版目録」のコーナーに最新版(PDF)をいつも置いておくようにします。

https://www.douwashoin.com/shop/wp-content/themes/douwashoin-shop/img/pdf/mokuroku2021_02.pdf

 

創業以来の専門ジャンルであるスポーツ・健康科学は、引き継いだ在庫が大半を占めていますが、それでもこの3年でだんだんと在庫切れが増え、新刊の割合が大きくなってきました。
私が道和書院で仕事を始めたのは2016年1月ですが、それ以後刊行した本が、スポーツでは7点、音楽では8点、計15点となりました。

 

年間平均5点。そんなもんかと思うような少なさですが、その間に事業承継、在庫の移転、法人化があり…… かなり「死に物狂い」の5年でありました。

 

この3月、私は編集のしごとを始めて満30年になります;;
つくづく思うに、突出した能力や感性をもちあわせているわけでもなく……
とにかく、どういうわけか続いてきたことの僥倖を思い、これからも1冊1冊を大切にと思っています。

 

新年のご挨拶と、嬉しい書評記事

あけましておめでとうございます。

年明け早々、コロナウィルス感染者の急増を受けての再度の緊急事態宣言(とりあえず?関東の一都三県)。
まだまだパンデミックとの闘いは続く、と痛感させられた正月でした。

苦しい、つらい、悲しい思いを抱えて年を越した方々も、多いことでしょう。
こんな時こそスポーツや音楽が、気持ちを前向きにし、人と一緒にいる喜びを感じさせてくれる、はずが…… 
停滞を余儀なくされているのがもどかしい。
そしてスポーツ関係者や音楽家の苦境も、相当なものなのです。

2021年が、少しずつでも明るく前向きなほうへと、向かっていく年になりますように。



いささか旧聞のお知らせですが、昨年末12月27日付の山梨日日新聞に、小社刊行の『新版 スポーツの歴史と文化』が紹介されました。

読書欄の「図書館司書が薦める こんな時この一冊」というコラムで、筆者は山梨県立図書館の司書・山田あや氏。

年末年始のスポーツ観戦を念頭において、本書の内容をていねいに紹介し、「興味のあるスポーツの歴史と文化を知り、現代のスポーツに関わる平和、権利、産業などの問題とスポーツの価値について理解が深まれば」観戦もさらに楽しくなる、と結んで下さっています。

この本はもともと大学や専門学校のテキストとして作られた本。
とはいえ決して、可もなく不可もない無味乾燥なものではなく(いえ、テキストが皆そうだとは言いませんが)むしろ、執筆者たちの熱意があふれすぎて……というてんこもりの内容で、読む人によって興味を引かれるところが違い、いろいろな読み方のできる本だと思っています。




山梨県立図書館では、読書活動推進運動の一環として、この記事と連動する催しも定期的に行っておられるようです。

https://www.lib.pref.yamanashi.jp/sokushin/issatsu.html

そのような目利きの司書の方が、小社の本に目を留めてくださるとは嬉しいかぎり。
新年早々、勇気づけられました。
この場を借りて、評者の山田あやさんと、山梨日日新聞文化部のご担当者に、御礼を申し上げます。
ありがとうございました。

 

【山梨日日新聞ホームページ】
https://www.sannichi.co.jp/

【紹介された本】

新井博(編著)『新版 スポーツの歴史と文化』
https://www.douwashoin.com/%e6%96%b0%e7%89%88-%e3%82%b9%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%83%84%e3%81%ae%e6%ad%b4%e5%8f%b2%e3%81%a8%e6%96%87%e5%8c%96/

 

 

 

「総額表示の義務化」をめぐって

版元(出版社)の有志が集まって、「総額表示を考える出版事業者の会」として、消費税法の改正を訴える提言をまとめました。
道和書院も提言書の起草メンバー25名の1人に加えていただき、改正に向けての運動に参加することにしました。


【総額表示の一律義務化に反対し、消費税法の改正を提言します】
https://note.com/sougaku_kangaeru/n/n3dfe25259778

 

総額表示とは税込の価格のことで、来年4月から、税込価格が記載されていない商品はすべて違法、ということになります。


しかし出版物の場合、すでにカバーに価格表示が刷り込まれていて(「定価=本体価格+税」といった形で)、これを修正するとなると、書店からすべての商品を回収、カバー等の刷り直し、古いカバーを取り外して新しいカバーに付け替える改装、再出荷、という、非常な手間暇と経費のかかる作業が必要になります。
特に小ロットの学術書・専門書や、刊行から数年経った既刊書の中には、その経費を回収できるだけの売上数が見込めず、「回収→断裁(廃棄処分)→絶版」とせざるを得ないものも出てきます。


「本体+税」の表示は、5%の消費税がスタートしたときに出版業界で協議を経て定着したもので、その後、8%、10%と税率が変化しても、このおかげで既刊書をそのまま流通させ販売することができました。
税率は今後も変化する可能性があり、もっとも合理的な価格表示法と考えます。

この問題は出版に限らないことなので、広く他業界にも呼びかけて、総額表示を義務とする消費税法の条文そのものの改正を訴えていきます。

すでに、著者・訳者の立場で出版に関わる方々、読者の方々がSNSで反対の意思表明をして下さっています。
当事者である出版社がそれに呼応して具体的なアクションを起こすべきでは、と思っていたところ、

・ころからhttp://korocolor.com/ の木瀬貴吉さん
・アルテスパブリッシングhttps://artespublishing.com/ の鈴木茂さん
・トランスビュー http://www.transview.co.jp/ の工藤秀之さん

が呼びかけ人となり、提言書のとりまとめをして下さいました。


その経緯が、木瀬さんの「版元日誌」にまとまっているので、シェア致します。(個人の署名を集める方法も、検討中です。)

https://www.hanmoto.com/nisshi-bangai-20201112?fbclid=IwAR0lZPwTmArSqrUCVkrTlsYdmfaEOgyp54O4cFO7WgCSWK6OZ5c30UVqyQ8


今のところ、
出版界からの訴えに対し、「本に挟み込んである売上スリップに税込価格が掲載されていれば、カバーは従来の表示のままで良い」という方向になってきています。

ただそれは、運用の範囲での例外的な措置であって、厳密に法に照らせば違法な状態が続くことになります。

それに、今後もし税率が変化した時に再び、スリップの回収・刷り直し・入れ替え、といった作業が必要になります。

この機に、法律そのものを、さまざまな業種・業態の実情に合わせて、柔軟なものに見直してほしい、という趣旨です。

ぜひ、提言書をご一読ください。

新聞広告のこと

7月末から8月頭にかけて、一週間の間隔で、朝日新聞と日経新聞に、サンヤツ広告を出しました。
 
同じ本の広告でも、2社の広告版下制作の規定が違うため、宣伝文や配置を微妙に変える必要があります。
以下は、書籍用のサンヤツと呼ばれる枠の規定です。
 
日経は、こちらでデザインし、版下(印刷にまわす製版用の原稿)のデータを渡せばOK。(ただしもちろん審査はあります)
朝日は、社組と言って、原稿のテキストと、フォントやサイズを指定した用紙を提出し、あちらで組んでもらう。
 
日経にも、使えるフォントやサイズの大まかな既定がありますが、朝日のほうは厳格で、書体は2種のみ(明朝とゴシック)、サイズは7種のみ。
不便ではありますが、全体の紙面を見たときに、統一感があって品格を感じさせるのは確かに朝日のほう。これは個人の好みですが。
日経は、元気というか活気を感じさせますが、各出版社が書名を目立たせようとインパクトを競い合っていて、書名がみんな極太。どこまで太くなるんだ、という感じ。
 
朝日の広告の考え方、わたしは嫌いではないのですが、デザイン上いちばんの制約になって困るのが、ツメ打ち(字間を狭くする)ができないことです。
音楽の本も、道和書院のもう一つのジャンルであるスポーツも、書名にカタカナが入ることが多い。
カタカナは同じQ数(Pt)でも、漢字・平仮名よりも小ぶりになり、その分、字間が空いてしまって間延びするので、書名のインパクトが弱く、読みにくくなる。タイトルだけで大きなスペースを取ってしまうので、説明文など他の要素を少なくしなければいけない。それでいつも苦労しています。
 
今回は「100」という3桁の数字が加わったので、デザインのハードルがさらに上がりました。
文字単位で微妙にサイズを変え、字間を詰め、太さも変えて、ぱっと見の印象で、インパクトがあり、しかし操作が行き過ぎてバランスが悪く歪んだ感じにならないように。そして下品にもならないように。
デザインを専門にしている方なら、下の画像を見て、あれこれいじっていることがすぐわかり、うわ、キモチワルイ、と思うかもしれません。
 
直近で、同じ本の一本広告を出す機会もそうそうありません。
新聞広告にふさわしい内容とパワーを持った新刊であること、そして2紙の広告枠がちょうど適当な時期に空きがあること。
 
今回の『チェロの100年史』は、学術的かつ専門的な内容ですが、実用性も兼ね備えており、「いま弾いている曲を、かつてはどう弾いていたか」を多数の楽譜も示して詳述しています。
チェロに興味のある人は多く、プロ・アマ問わず探究心も旺盛、本をよく読む人が多い。
amazonでは、5月の発売からすぐに、このジャンルでのベストセラーが続いていました。
それで、2紙への広告を決めた次第です。
 
貴重な機会なので、デザインの裏話なども面白いかなぁと思って、画像とともにご紹介しました。
 
【1】日経
 
【2】朝日

新しい年度のはじまり

道和書院、今日から3期目。
 
2018年12月に事業承継をして新会社にしてから、無事に3期目を迎えました。
小さな歩みですが、コロナ禍のもと、奇跡的に良いかたちで第2期を締めることができ、感慨ひとしおです。
これも、たくさんの方の応援のおかげです。
 
8月末決算、というのは珍しい、のかどうか、よくわかりませんが、そのように設定した理由はいくつかあります。
 
年末年始や3月の年度末に、わざわざ忙しくすることもあるまい。11月は印税などの支払調書作成もひと仕事。税理士さんに優しい決算期がいい、というのが一つ。
 
採用テキストを扱っている関係で、編集の仕事がいつも11月~2月が繁忙期になるので、それを外したい。正月くらい休みたい。
 
採用テキストを3~5月に出荷し、その売れ残りが返品されてくるのが7~8月。逆に、後期の採用の出荷が始まるのが8月。
採用に備えて重版したばかりの在庫が課税されてしまうリスクもない。商品の動き、在庫の量が、最も落ち着いている(会社の実態を適正に反映している)のがこの時期。
 
夏は急ぎの仕事も少なく、決算を見据えた、あれやこれやの差配もしやすい。
 
こういったことを考えるのも面白い。
編集以外の仕事もてんこ盛りでなかなか大変ですが、いちいち面白いので、苦にはなりません。
 
いまや、音楽書のジャンルは立派な出版社がたくさんあり、もう一つ出版社を付け加える必要はないと思いましたが……
 
前職でもそうだったのですが、「どこも取り上げない、しかし大きな可能性を秘めた企画」というのは必ずあるもので、むしろそういったものを手がけたい、と、思ってやってきました。
 
誰もが思いつく企画じゃ、面白くないじゃないですか。
そういう本を作るのが上手な出版社(編集者)は、他にたくさんありますし……
 
会社・組織そのものは決して大きくせず、小さく維持することで、無理な量産はしなくてもやっていけるシステムを作る。
そうすることで、企画と精神の自由を確保していきたいと思うのです。
 
傲ってるなぁ 
と感じる方もいるかもしれませんが、そんな偉そうなものではありません。
 
地を這う自由。
こういう発想は、もしかしたら女性ならではなのかも……
成功、成長、勝利、拡大、マジョリティ。そういうものを、はなから求めていないのです。
 
1冊、1冊、未来につながる本を。
どこまでいけるかわかりませんが、「明日、世界が終わるとしても、りんごの木を植える」ように、次につくる本に心を向けていけたら幸せです。

チェロの新刊と新聞広告

今朝の日経新聞朝刊、サンヤツと呼ばれる書籍用の枠に、広告を出稿しました。

ヴァレリー・ウォルデンさんの著作、翻訳は松田健さんで、『チェロの100年史』と題する本です。

図版や楽譜をたくさん示しながら、楽器そのものや、弓や楽器の構え方、ボウイング(弓使い)、楽譜に記された演奏記号などなど、さまざまな観点から、歴史的な変化を詳細に解説しており、A5判で414頁の大著です。

 

当代の名チェリスト、それも3名もの方々が、校正刷に目を通して細かくチェックを入れ、推薦文を寄せてくださいました。

鈴木秀美さん

懸田貴嗣さん

河野文昭さん

本当に、感謝のほかありません。訳者の松田健さんの情熱のたまものです。

 

とにかくお三方のチェックは厳しく、譜例の細かな誤りも見逃さない。

本書にも多数の名手たちが登場し、この楽器をこれでもかと磨きぬいてきた歴史が描かれていますが、その彼らの姿を彷彿させるようなやりとりでした。

チェリスト、恐るべし。

 

著者は、定評あるニューグローヴ音楽事典でチェロを中心に多数の項目を執筆しているヴァレリー・ウォルデンさん。

訳者の松田健さんは、音楽関係では、法政大出版局から『音楽テイストの大転換:ハイドンからブラームスまでの演奏会プログラム』という大著を訳出されています。

こういう本をちゃんと訳してくれる人がいるんだ! と以前から注目しておりました。

今回、お仕事をご一緒して、原稿の入稿から校正刷のやりとりまで、その完璧な仕事ぶりに感服しました。

著書・訳書を何冊か出されている方は、出版のしごとそのものが好きで、どうしたらその作業をより効率よく、より良い仕上がりにできるかを考えぬいて、一連の流れそのものが art になっている方がいます。

松田さんも間違いなくそのお一人。

いろいろあって出版が遅れてしまい、さまざまご負担もおかけしましたが、おかげさまで楽しい編集作業でした。

 

推薦の言葉を寄せてくださった鈴木秀美さんが、日経新聞の広告出稿のご報告をした折、こんな返信を送ってくださいました。

「音楽や楽器が歴史的にずっと変化していることを「教える」側がしっかり認識できるようになることを願っております。」

いつも、短い文章のなかに深く鋭いメッセージが込められていて、さすが、です。

 

コロナ禍で、音楽界そして出版界も沈み込んでいるような状況ですが……

この本が多くの方に読まれ、座右の書になっていくことを願っています。

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