3月に思うこと、そして新しい出版目録
3月は、道和書院の創業者が亡くなった月(祥月)。
今年、私(片桐文子)はそのときの創業者と同じ年齢になります。
日販王子流通センター注文口で倒れて、そのまま。
採用品の製作・搬入で多忙を極める時期。
子供たちはまだ大学生でしたし、心残りも多かったと思います。
私のいとこにあたる人ですが、父の弟といってもいい年齢で、父が最も頼りにしていた親戚でした。
旧事務所には、父の油絵が何点も飾ってあります。
個展の時にはいつも、初日の朝いちばんに来てくれました。
道和書院は1999年、日本体育学会から「永年にわたる体育及び日本体育学会の発展への多大な貢献」に対して感謝状を贈られています。(「日本体育学会の創立50周年を記念して」とのこと)
小さな出版社が、学会から感謝状を贈られるということ、私はそういう例を他に聞いたことがありません。
当時の事情を知る方がいたらお話を聞きたいと思いつつ、ゆかりの方にまだ出会えていません。
創業者の急逝からしばらく経っての表彰ですが、あとを継いで苦労を重ねた妻も含めて、道和書院の仕事に敬意をもってくださる方々が学会に一定数いた、ということは確かと思います。
私は前職の会社で働いていた2003~2004年頃から、いつか独立したいと思うようになりましたが、まさか道和書院を継ぐことになるとは夢にも思っていませんでした。
亡き父の守りと導きを感じずにいられません。
3月1日発売の『スキー研究 100年の軌跡と展望』は、スポーツの学問の王道というような内容、先鋭的な企画で、私はようやく創業者に顔をあげて近況報告できる気がして、先日、お墓参りに行ってきました。
喜んでくれていることを願っています。
下にあげた画像は、道和書院の新しい出版目録です。
これまでは手作りの簡易版でしたが、フルカラーにしました。
今後は、新刊ができるタイミングで更新し、サイトの「出版目録」のコーナーに最新版(PDF)をいつも置いておくようにします。
https://www.douwashoin.com/shop/wp-content/themes/douwashoin-shop/img/pdf/mokuroku2021_02.pdf
創業以来の専門ジャンルであるスポーツ・健康科学は、引き継いだ在庫が大半を占めていますが、それでもこの3年でだんだんと在庫切れが増え、新刊の割合が大きくなってきました。
私が道和書院で仕事を始めたのは2016年1月ですが、それ以後刊行した本が、スポーツでは7点、音楽では8点、計15点となりました。
年間平均5点。そんなもんかと思うような少なさですが、その間に事業承継、在庫の移転、法人化があり…… かなり「死に物狂い」の5年でありました。
この3月、私は編集のしごとを始めて満30年になります;;
つくづく思うに、突出した能力や感性をもちあわせているわけでもなく……
とにかく、どういうわけか続いてきたことの僥倖を思い、これからも1冊1冊を大切にと思っています。
- 「新年のご挨拶と、嬉しい書評記事」前の記事→
- ←次の記事「3月11日」