3月11日


東日本大震災から10年。

このような悲しみがあっていいものかと、報道を見るたび思う。

 

あのときはまだ、千代田区外神田にあった会社に勤めていた。

帰宅の指示が出たので、神田から自宅のある小金井へ、歩いて帰った。

午後4時ごろに出て、帰宅したのは深夜1時半過ぎだったと思う。

 

そしてテレビをつけ、初めて見た津波の映像。
真っ暗な街にちろちろと燃え広がる炎と、くすぶる煙。

あの下にたくさんの人がいる。
本当に? 考えたくなかった。

 

あれからたくさんの報道があった。

被災された方々の重い口から発せられる言葉の一つ一つに、
胸を衝かれる。

どうしようもない悲しみや孤独から絞り出される言葉が、
「生きろ」と人を奮い立たせてくれる。

華やかな勝利や、成功や、喝采の中で発せられる言葉よりもずっと。

 

震災とその後の10年は、
そのことを教えてくれる歳月だったようにも思う。