「負の影響」


8月の新刊を校了にして、ほっとする間もなく、次の本の作業を進めています。


すこしひと息入れるとか、遊ぶとか、すればいいのに! という気持ちもありますが……
お待たせしている企画もいくつかあり、おちおち休んでもいられません。

それ以上に、やはり、仕事したいんでしょう。
きっついなぁ…… と呟きつつ、次の新しい原稿と向き合うのは楽しい。
出来上がりの姿を思い描き、組入(印刷所への入稿)のための原稿整理を進めるときが、いちばん楽しい時間かもしれません。

ところで、最新号の『新文化』(2023年8月3日付 第3475号)に、気になる記事がありました。
最終面の「海外 Radar」今回は〈イギリス〉編です。

初めて著作を出版した新人作家に対し「ブックセラー」誌がアンケートをしたところ、ストレスや不安など「負の影響」が大きかったと答えた人が半数を超え、良い体験だったと答えた著者は、わずか22%だった、とのこと。
主に出版社のサポート(コミュニケーション)の不足が原因、と書かれていますが……

どきっとしました。

コミュニケーションは十分に取っているつもり、むしろ丁寧すぎ細かすぎ、「そんなことまで説明しなくても…」と自分を戒めているくらいですが。
こちらは「わかっているつもり」のことでも、あちらにとっては初めての局面、細かく言われて右往左往し精神的にダメージを受ける、ということは、あるかもしれない(汗)。

メールの文面がくどくどしてはいけない。
有能な著者・訳者の方ほど、忙しい。煩わせてはいけない。
さっと読んでポイントがすぐわかるように。返事がしやすいように。

そう思って、しかし結果的に不躾に、切迫したようなメールになっている…… 
うーーん。あるかも。

せっかくの出版の機会。
できるだけ、出版界の状況や、出版社(編集者)の考えていること(論理)、それをわかって頂ければ嬉しい。
ベストセラー作家ならともかく、生涯で何度かの貴重な体験のはず。
できるだけ楽しんで頂きたい。
そしてこの先、他の出版社(編集者)さんと仕事をするときに役立つように……

そう願ってはいるものの、受け止め方は人それぞれ。
「ああ、ヒドイ目に遭った……」と思われないように、これからも精進致します。(片桐)


『新文化』
https://www.shinbunka.co.jp/