チェロの新刊と新聞広告


今朝の日経新聞朝刊、サンヤツと呼ばれる書籍用の枠に、広告を出稿しました。

ヴァレリー・ウォルデンさんの著作、翻訳は松田健さんで、『チェロの100年史』と題する本です。

図版や楽譜をたくさん示しながら、楽器そのものや、弓や楽器の構え方、ボウイング(弓使い)、楽譜に記された演奏記号などなど、さまざまな観点から、歴史的な変化を詳細に解説しており、A5判で414頁の大著です。

 

当代の名チェリスト、それも3名もの方々が、校正刷に目を通して細かくチェックを入れ、推薦文を寄せてくださいました。

鈴木秀美さん

懸田貴嗣さん

河野文昭さん

本当に、感謝のほかありません。訳者の松田健さんの情熱のたまものです。

 

とにかくお三方のチェックは厳しく、譜例の細かな誤りも見逃さない。

本書にも多数の名手たちが登場し、この楽器をこれでもかと磨きぬいてきた歴史が描かれていますが、その彼らの姿を彷彿させるようなやりとりでした。

チェリスト、恐るべし。

 

著者は、定評あるニューグローヴ音楽事典でチェロを中心に多数の項目を執筆しているヴァレリー・ウォルデンさん。

訳者の松田健さんは、音楽関係では、法政大出版局から『音楽テイストの大転換:ハイドンからブラームスまでの演奏会プログラム』という大著を訳出されています。

こういう本をちゃんと訳してくれる人がいるんだ! と以前から注目しておりました。

今回、お仕事をご一緒して、原稿の入稿から校正刷のやりとりまで、その完璧な仕事ぶりに感服しました。

著書・訳書を何冊か出されている方は、出版のしごとそのものが好きで、どうしたらその作業をより効率よく、より良い仕上がりにできるかを考えぬいて、一連の流れそのものが art になっている方がいます。

松田さんも間違いなくそのお一人。

いろいろあって出版が遅れてしまい、さまざまご負担もおかけしましたが、おかげさまで楽しい編集作業でした。

 

推薦の言葉を寄せてくださった鈴木秀美さんが、日経新聞の広告出稿のご報告をした折、こんな返信を送ってくださいました。

「音楽や楽器が歴史的にずっと変化していることを「教える」側がしっかり認識できるようになることを願っております。」

いつも、短い文章のなかに深く鋭いメッセージが込められていて、さすが、です。

 

コロナ禍で、音楽界そして出版界も沈み込んでいるような状況ですが……

この本が多くの方に読まれ、座右の書になっていくことを願っています。