版元からの献本・謹呈について


迷いつつ、一度、書いておきたいと思ったこと。


道和書院では、無償の献本・謹呈・寄贈を、ほぼ、しておりません(その企画の成立に際しご恩のある方々にはお送りしています)。

とくに、音楽界は狭い。
一方でわたしの編集者生活は33年。
お世話になった方は数知れず、「この方にお送りしたなら、あの方にも」というわけで、献本をまめにしようとすると、あっという間にかなりの数になります。

正直に言えば、それだけ発売当初に売れてくれれば、どんなに助かることでしょう。

道和書院は「書籍の売上」だけで成り立たせている、つまり購読者のお志を受けとって、事業を続けている出版社です。
一冊一冊の売上がそのまま、「次の本を制作する原資」になります。

小さな会社なので、発送の手間もばかになりません。
見本から発売まもなくの期間は、やることも膨大にあるので、忸怩たる思いを抱えながら献本をお送りするのは、心身ともに辛い作業になります。

一方で、その本の著者には、割引はありますが有償で、お渡ししています。
いろいろ心苦しい。

というわけで、道和書院で仕事をはじめた早い段階から、無償献本はやめております。

ご恩のある方々への失礼無礼は心苦しく(「献本がない」とご立腹の向きもあり)、SNSの「インフルエンサー」の応援も頼れない(むしろ献本がないと批判的になったりする)、その不利はかなりのものと承知しております。

もしも、ご不快や残念な気持ちを持っている方がおられたら… どうぞご理解・ご容赦を賜れば幸いです。

具体的に書評を考えて下さる方からは個別に連絡を頂いており、それはもちろん喜んで、お送りしております。
お取り上げ頂けるチャンスがありましたら、ぜひご連絡を賜ればと思います。

どうぞよろしくお願い申し上げます。