シェレメーチェフ家の農奴劇場

一八世紀ロシアのオペラ文化史
■著者 森本頼子
■発行年月日 2024年5月31日
■体裁・総頁 四六判上製・332頁
■ISBNとCコード 978-4-8105-3013-1
■価格(税別) ¥3,200

■内容紹介

エカテリーナ2世の治世下
パリ・オペラ座の舞台を
モスクワで実現しようとした大貴族がいた


西欧オペラの受容から
ロシア・オペラの創出へ

「オペラ大国ロシア」の知られざる前史


*農奴劇場とは……
富裕なロシア貴族が、所有する農奴を俳優・歌手・音楽家として起用し、招待客を相手に公演を行うもので、ロシアにおけるオペラ導入期の18世紀後半~19世紀前半には、全土で173も存在したとされる。その代表格がシェレメーチェフ家の劇場で、160名以上の農奴からなる一座を組織し、モスクワとその近郊に専用の劇場を建て公演を行った。規模の大きさ、劇場の豪華さ、公演の質の高さは、他に類を見なかった。

■目次

はじめに――「オペラ大国ロシア」ができるまで

凡例・用語法

第1章 一八世紀ロシアの劇場文化

1 西欧化するロシア
2 花開くオペラ文化

第2章 パリ・オペラ座の衝撃

1 ニコライ・シェレメーチェフ
2 あこがれのパリ滞在

第3章 シェレメーチェフ家の劇場

1 農奴劇場の始まり
2 拡大する「シェレメーチェフ・カンパニー」

第4章 ニコライの野望

1 「オペラ劇場」へのこだわり
2 パリの最新作を、ロシアで
3 ニコライ渾身の舞台制作――グレトリ《サムニウム人の婚礼》

第5章 挑戦と挫折

1 トラジェディ・リリックに挑戦する
2 新たなオペラ劇場へ

第6章 ロシアのオペラを創る

1 悲願のトラジェディ・リリック上演
2 オリジナル・オペラの創作
3 ロシア語オペラの誕生――《ゼルミーラとスメロン》

おわりに――シェレメーチェフ家の劇場が残したもの

[巻末]
人名索引
年表 シェレメーチェフ家の劇場と一八世紀ロシアのオペラ文化
シェレメーチェフ家の劇場のオペラ・レパートリー
関連地図
主要参考文献

■著者・訳者紹介

森本頼子(Yoriko Morimoto)

愛知県立芸術大学大学院音楽研究科博士後期課程(音楽学専攻)修了。博士(音楽)。
現在,名古屋音楽大学音楽学部,金城学院大学文学部,愛知県立芸術大学音楽学部,各非常勤講師。早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所招聘研究員。
専門は,音楽学(西洋音楽史,ロシア音楽史,日本洋楽史)。
編著:『音楽と越境――8つの視点が拓く音楽研究の地平』(音楽之友社,2022年),『上海フランス租界への招待――日仏中三か国の文化交流』(共編著,勉誠出版,2023年)。
著書:『オペラ/音楽劇研究の現在――創造と伝播のダイナミズム』(共著,水声社,2021年),『バロック・オペラとギリシア古典』(共著,論創社,2024年)。
訳書:『オーボエモーション――オーボエ奏者ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』(共訳,春秋社,2011年)。

(2024年4月現在)